私たち人間の体には、約80~100mgの銅が含まれています。とてもわずかな量ですが、銅は「必須微量元素」と言われ、体の中で血液を作る、骨や血管を正常に保つ、脳の働きを助けるなどの大切な役割を果たしています。
銅のように生物の体内から少量しか見つからない成分ですが、生命活動に欠かせない元素を「必須微量元素」と呼ばれ、銅以外にも鉄や亜鉛、マンガン、ヨウ素、モリブデン、セレン、クロム、コバルトなどがあります。
では、銅が不足するとどうなってしまうのでしょうか。銅は血液と密接なかかわりをもっており「血のミネラル」とも呼ばれています。体に銅が不足すると鉄の利用が妨げられ、ヘモグロビン合成が低下し、貧血が起こりやすくなると言われています。
WHOが発表した1日当たりの銅の必要量は、乳幼児:80μg/kg/日・小人:40μg/kg/日・成人:30μg/kg/日になります。
しかし、むやみに銅不足を心配する必要はありません。わたしたちはふだん口にする食べ物から1日約2mg、体に必要な銅を摂って、同じ量を排出しています。ちなみに銅を多く含む食品は、カキ、レバーなど(20~30mg/kg)。穀類や豆類、木の実などにも含まれています(食品中の銅含有量一覧はこちら)。好き嫌いをせず、バランスのよい食事を摂ること。やはりこれが一番の健康法と言えそうです。
もし必要以上の銅を摂取した場合、銅が胃の粘膜を刺激して嘔吐作用を起こし、体外に出されます。そもそも硫酸銅は医療において「吐剤」として利用されているくらいのものです。そのため、万一多量の銅を口にしてしまっても、嘔吐作用によって体内に入ることは無いのです。
これまでに銅の急性中毒が起こった例は、銅製の容器に長時間酸性の飲み物を入れ、それを飲んだときに一時的な腹痛、下痢、嘔吐などを生じたという報告を除けば、不注意による大量摂取など、きわめて特異なケースにかぎられています。
ヘモグロビン