軒樋に穴があいたのを見たことがありますが、酸性雨との関係は?

ご質問

軒樋に穴があいたのを見たことがありますが、酸性雨との関係は?


お答え

 (酸性濃度と銅の溶出度の関係についておしえてください)でも記述しましたとおり、雨にぬれた状態での銅の消耗速度は、酸性がかなり強くなってもあまり加速することもなく問題ありません。

 しかし、雨水が強い流れになり、銅屋根のある箇所に集中的にあたると、その部分の銅は消耗しやすくなります(雨垂れ石を穿つ)。

 これは銅の上に出来る酸化物からなる保護膜が、強い流れのために取れ易くなるためです。また、この現象は屋根面に砂塵が強くあたったり、瓦の釉薬に含まれる化学成分の溶出によっても加速されると考えられます。

 つまり、この現象が起こる背景には、雨水の流れが一ヶ所に集中しやすい瓦屋根で、雨水が銅面にあたるまでに落差があるといった、建物自体の構造的な原因が考えられます。砂塵や釉薬の影響は、こうした現象を更に加速する可能性としてあげられます。

 この対策としては厚手の銅材を用いるか、フッ素系又はコールタール系などの信頼のおける塗料を、厚く内面に塗布するなどの皮膜対策をおすすめします。また、同様の現象は流れに受ける「あんこう」にも起こることがありますが、対策は同じです。

 なお、瓦屋根以外の銅葺屋根を受ける銅軒樋に、穴あきなどがおこった例はありません。

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