近年、より衛生的で快適な生活環境へのニーズが高まり、地球温暖化問題、省エネルギー対応など、環境配慮型の建築物への関心の高まりとあいまって、建築物の衛生面の管理規定が大きく変わってきました。
このような背景から平成15年4月「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称:ビル衛生管理法)」が改正・施行されました。
銅管にも大きなかかわりのある法律だけにその概要を紹介しておきましょう。改正の最も大きなポイントは次の4点です。
- 対象建築物の範囲拡大
- 室内空気環境の規定見直し
- 給水装置の維持管理基準の見直し
- 清掃とネズミの防除について規定
これらのポイントのうち、銅配管がかかわってくるのは2と3のフィールドです。
2、の「室内空気環境の規定見直し」では、近年、冷却塔で増殖したレジオネラ菌などによる集団感染が散発しており、これを防止するためには空調設備のシステム全体の点検・清掃を定期的に実施するとともに、加湿装置や冷却塔の補給水については、雨水や下水処理水などでなく水道法の水質基準を満たす水を用いるなどの措置を講じる必要があるとしています。
3、の「給水装置の維持管理基準の見直し」では、近年、利用者の快適性の追及や技術の向上に伴って、大規模の建築物では飲用目的だけでなく、浴用や炊事用など幅広い目的のために加熱した水を供給する給水装置が増えています。
こうした給湯装置についてもレジオネラ菌の増殖が多く見られたため、飲用目的はもちろん、炊事用、浴用、手洗い用のほか、人の生活用に水を供給する場合には、『末端温度55度以上保持、残留塩素濃度0.1mg/l以上』の基準に準ずることとしました。
今回の改正により、人の生活にかかわる水、そしてお湯に、水道水と同レベルの衛生性、安全性を求めたのです。
このような時代の流れの中で、すでに日本銅センターでは感染事故の散発するレジオネラ菌に着目。この菌に対する銅の抗菌性の実験研究を(財)北里環境科学センターに委託、その成果として平成14年、レジオネラ菌に対して銅がすぐれた抗菌効果を発揮することが発表されました。
今回のビル衛生管理法の趣旨は、人の生活に供する水とお湯を水道水並みの衛生性に戻すこと。他の管材にはない銅のすぐれた抗菌性を考えたとき、まさに時代の求める配管材と言って過言ではないでしょう。