最近、入浴施設などでレジオネラ症に感染して命を落とす事故が後を絶ちません。
近年、宮崎県の温泉施設で七人が死亡、200人が感染するという大規模な事件(2002年7月)や、石川県の公衆浴場で死亡者が出る事件(2003年2月)などがありました。
レジオネラ菌はもともと自然のなかの土や水に生息する細菌です。人から人への感染はなく、クーリングタワーの冷却水、循環式浴槽、給湯設備、加湿器、温泉などの水やガーデニング用の堆肥などがおもな感染源になっています。
約50度のお湯の中でも繁殖するやっかいなレジオネラ菌に対しても、銅は優れた抗菌効果を持っています(北里大・日本防菌防緻学会発表)。
銅にはごく微量でもさまざまな雑菌を退治する「微量金属作用」という特別な働きがあり、コインなど多くの人の手に触れるものに銅製品は使われているのはそのためです。また、病院の手すりやドアノブなどにも使われ、院内感染予防にも役立っているのです(「院内感染を銅で防ぐ」動画はこちら)。
財団法人北里環境科学センターにて2つの方法で実験を行いました。ひとつは抗菌効果を試す実験で、水道用配管として使用されている銅、ステンレス、塩化ビニールの板にレジオネラ菌をまき、培養後の菌の数を測定しました。その結果、試験片一枚あたりに50万~60万CFU(Colony Forming Unit:菌がまとまって成育した数)いた菌が、銅板では1000CFU以下に大幅に減少しました。一方ステンレス板、塩化ビニール板はほとんど減少しませんでした。
次に、銅イオン濃度と作用時間の関係を調べる実験では、段階的に濃度を変えた銅イオン溶液にレジオネラ菌を入れ、発生する菌の数を測定しました。その結果、銅イオンの濃度と作用時間に比例して、抗菌効果が高くなることがわかりました(下の写真が結果です)。
これらの実験から銅はレジオネラ菌に対してもすぐれた抗菌効果をもつことが実証されました。