文化の高いところにはすぐれた菓子が生まれるといいます。日本には、和菓子という独特な菓子の世界が、長い年月をかけてできあがってきました。
その和菓子になくてはならないのが「あん」です。小豆と砂糖がつくり出すあんの風味は、多くの日本人がこよなく愛する日本独自のもの。そして、おいしいあんをつくるには銅鍋が適しているというのは、和菓子の職人さんの間ではよく知られていることです。
厨房器具・用品を取り扱う問屋さんが並ぶ東京・河童橋。鍋を扱う店も数多く、そのような店内に入ると天井から床まで大小さまざまな鍋が並んでいます。鍋の材質にはステンレス、鉄、アルミニウムなどがありますが、その中でも美しさが際立つのが銅の鍋です。
問屋街では業務用が中心とあって、家庭ではなかなかお目にかかれないサイズの鍋にもたくさん出会えますが、その中でもひときわ大きな直径1メートルほどの大きな銅鍋!聞けば、和菓子屋さんであんをつくるための鍋だそうです。
銅鍋が使われている理由には、昔から伝えられた技術であるというこもありますが、おそらく熱伝導率にすぐれているので、大きな鍋全体に熱が均等に伝わり、あんへの熱の伝わり具合がいいからと考えられます。
