『クリプトスポリジウム』という名前をご存知でしょうか。クリプトスポリジウムは、水や人の手を介して感染し、激しい腹痛や下痢を引き起こす病原菌微生物のひとつです。
1996年に埼玉県越生町で約9000人の集団感染が発生し、多くの人が激しい下痢に悩まされました。クリプトスポリジウムは環境抵抗性が強く、水道水の塩素消毒でも死滅しないため、その有効な殺菌法の発見は難しいテーマとされてきましたが、2003年、北里大学医学部の研究で銅イオンが有効であることが初めて明らかになりました。実験では銅イオンによってクリプトスポリジウムのオーシスト(クリプトスポリジウムを覆う硬い殻)の形がくずれたり、壊れたりする事を発見。この銅イオン処理をしたオーシストをマウスに感染させて試験したところ、クリプトスポリジウムの感染性が不活性化する事がわかりました。
現在はまだ実験レベルですが、クリプトスポリジウムの集団感染に対する予防効果が期待され、特にライフラインである銅の水道管への関心が高まっています。
クリプトスポリジウム病原菌