「銅が動脈硬化を防ぐ」というニュースが新聞に載りました。
記事では、島根医科大学とイギリス・ケンブリッジ大学が、長寿で知られる島根県の隠岐の島町の人々を調査したところ、隠岐の人々の白血球中の銅の量は、ケンブリッジ市民に比べて2倍あり、一般の動脈硬化疾患者にくらべて6倍もあることがわかりました。
隠岐の島町では心筋梗塞の発生が非常に少なく、ケンブリッジ市では死因のトップでした。動脈硬化を起こす因子の一つとされる血液中のコレステロール値は、隠岐もケンブリッジも同等でした。海に囲まれた隠岐は、新鮮な海の幸、たこ、わかめ、海苔など、銅を含む多くの海産物に恵まれたところです。両大学は「魚介類に恵まれた隠岐の人々の食事を科学的に分析すれば、理想的な長寿食をつくることができる」とコメントしています。記事では最後に、動物の心筋梗塞が銅で予防されることが知られていることから、銅は血管の若さを保つはたらきがあるのではないかと結論づけていました。
じつは、新聞で報道された銅の効果は、かなり前からいわれていた有力な仮説です。生活習慣病としての心臓病(狭心症、心筋梗塞)と銅摂取量の関係は、以前からアメリカのクレービーという学者が指摘していました。
銅が不足するとさまざまな症状が出ます。心臓に関するものをあげると、動物実験ですが、銅不足により動脈硬化がうながされ、心筋を変化させ、心電図の異常をもたらすことがわかっています。有害な過酸化物を除く力も減退します。こうした症状と、人間の心筋梗塞の病態がぴったり一致していることから、銅不足のためではないかと考えられています。