日本銅センターのマークは、「♀」マークが基本になっています。お気づきでしたか?「♀」は日本工業規格でも定められている「雌記号」です。
じつは、この「♀」は世界的に銅のシンボルマークとして使われているのです。ロンドン金属取引所や米国のカッパークラブなども同様です。では、どうして銅は「♀」なのでしょうか。その謎を解くヒントがありましたので、二つご紹介しましょう。
その1:雑誌「銅のおはなし」(仲田進一著)に掲載された文章からその一文を引用させていただきます。
『古代エジプト人は、生命を象徴する象形文字としてTの上に○をのせた♀を用いました。これを「Ankh]記号(アンクー・マーク)と呼びます。また、古代ローマ人は占星術で銅を金星(ヴィーナス)になぞらえ「アンクー・マーク」を与えました。今日では、銅のシンボルとして+の上に○をのせた♀記号を用いています』・・・とのことでした。
その2:ドイツのKME社のホームページにはこんな興味深い記述が。
『古代ローマ時代、銅の主要生産地はキプロス(Cyprus)島で、銅は「Cupurum」と呼ばれていました。これが英語表記「COPPER」の語源です。一方、銅は「アンクー」とも呼びました。それは古代エジプトの「Ankh]、つまり♀が永遠不滅の生命を表す印で、銅がリサイクルされ何度も再生されるものであることから、そのイメージが重ねあわせられたからだといいます。
古代エジプトにおいても、永久の生命への願いは強かったようで、エジプトのファラオ(王)の名前の一部に、この「Ankh」がつけられていました。有名な若き王ツタンカーメンの名前も分解すると「Autankhamen」となっています』と書かれています。
何千年もの悠久の時を超えて、現在もなお銅が身近である事を、この記述は教えてくれています。
さて「♀」は銅の象徴というより、雌記号としての方が一般的です。この起源はどうだったのでしょうか?古代エジプトの神話にまでさかのぼります。
「地球の神」と「空の神」を両親に持つ「農業と人の死を支配する神」の妻で、「豊穣と母性の女神=アイシス」のシンボルマークであった、ということからだったようです。
日本銅センターのシンボルマークは、古代に永遠の命を与えられた「銅」という金属の偉大さを引き継ぎ、未来に銅の息吹を伝えるロマンと重責を象徴しているといえます。
また、銅の「Copper」という英語は、cyprium(シプリウム)→cyprum(シプラム)→cuprum(キュープラム)→copper(カパー)から生まれたといわれており、紀元前3000年頃キプロス島で銅が多く産出され古代エジプト時代から銅は創傷治療や飲料水の消毒など人々の暮らしの中で使われるようになりました。
紀元前2800年にはアプシル神殿(エジプト)で給水管として銅管が利用されました。